火星の月を調べに行く探査機 MMX(エムエムエックス) は、2026年10月20日(火)4時41分3秒に、種子島宇宙センターからH3ロケット10号機で打ち上げられました。JAXAの発表では、打ち上げから約1時間11分13秒後に、MMXはロケットから正常に離れて軌道に入りました。
この記事では、ニュースで「MMX」という名前を見た人がいちばん知りたいことを整理します。この探査機はどこへ行って、何をして、いつ帰ってくるのか。答えを先に言うと、火星の月フォボスへ行き、石や砂を取って、2031年度に地球へ戻ってくる計画です。打ち上げから帰るまで、およそ5年かかります。
上の写真は2025年2月に上がったH3ロケット5号機で、MMXを載せた10号機ではありません。
MMXはどこへ行くのか
行き先は、火星のまわりを回っている フォボス という月です。地球に月が1つあるように、火星には小さな月が2つあります。フォボスはそのうちの1つです。
JAXAのプレスキット(報道向けの説明資料)は、この計画をこう書いています。
MMXは、世界初の火星衛星フォボスからのサンプルリターンを目指し (JAXA 宇宙科学研究所「火星衛星探査計画 MMX プレスキット」2026年9月18日版)
「衛星(えいせい)」は、ここでは火星のまわりを回る月のことです。「サンプルリターン」は、よその天体の石や砂を、探査機が持ち帰ってくることです。火星の月からそれをやるのは、世界で初めての試みだとJAXAは説明しています。
いつ着いて、いつ帰ってくるのか
プレスキットの「ミッション・プロファイル」の頁に、旅の節目が年度で書かれています。
| 節目 | 時期 |
|---|---|
| 打ち上げ | 2026年度 |
| 火星圏到着 | 2027年度 |
| 火星圏離脱 | 2030年度 |
| 地球帰還 | 2031年度 |
「年度」は、4月に始まって翌年3月に終わる1年の区切りです。たとえば「2031年度」は、2031年4月から2032年3月までを指します。「火星圏」は、火星とその月がある、火星のまわりの範囲のことです。
同じ頁には、こうも書かれています。
惑星間の飛行期間(片道)は往路・復路とも1年弱。火星衛星近傍での観測・運用期間を考慮し、全ミッション期間は約5年と計画している。 (同プレスキット「ミッション・プロファイル」)
つまり、火星へ行くのに1年弱、火星のそばで3年ほど調べて、帰ってくるのに1年弱。合わせて約5年です。MMXの公式サイトでも、8月21日に出た打ち上げ告知ポスターの記事に「5年間の旅」という言葉が使われています。
「はやぶさ」の次に帰ってくる機体
日本の探査機が天体の石や砂を持ち帰るのは、これが初めてではありません。プレスキットには、帰ってきた年と機体の名前を並べた図があります。
| 地球に帰った年 | 探査機 |
|---|---|
| 2010年 | はやぶさ |
| 2020年 | はやぶさ2 |
| 2031年(計画) | MMX |
「はやぶさ」と「はやぶさ2」が行ったのは小惑星で、MMXが行くのは火星の月です。この3つの機体の違いについて、当サイトはプレスキットの図にある以上のことは確かめていないので、ここでは書きません。
打ち上げのあと、MMXはどうなったのか
JAXAが10月20日に出した発表は、こう書いています。
ロケットは計画どおり飛行し、打上げから約1時間11分13秒後にMMXを正常に分離し、軌道に投入したことを確認いたしました。 (JAXA「H3ロケット10号機による火星衛星探査機(MMX)の打上げ結果」2026年10月20日)
「分離」は、探査機がロケットから離れることです。
次の日の10月21日、JAXAは「初期クリティカル運用フェーズ」が終わったと発表しました。ロケットから離れたあと、太陽電池パドル(電気をつくる板)を広げる、探査機の向きを安定させる、といった最初の大事な作業を済ませるまでの期間のことです。JAXAは、これらが正常に終わり、探査機に問題がないこと(JAXAの言葉では「健全性が確保された」)を確かめたとしています。この先は、積んでいる機器が動くかを確かめながら、火星へ向かう旅の準備をする予定です。
打ち上げの時刻や回数の数字をくわしく知りたい人は、10月21日の記事を読んでください。
今年の国内打ち上げは4回目
当サイトは、国内の4つの射場(ロケットを打ち上げる場所)からの打ち上げを数えています。その数え方では、2026年に国内から上がったロケットは、MMXの前に3回ありました。順に、3月5日のカイロス3号機(失敗)、6月12日のH3ロケット6号機(成功)、8月11日のH3ロケット9号機(成功)です。10月20日のMMXは、今年4回目です。
去年2025年の1年間は4回でした。今年は10月の時点で、それと同じ数に並びました。
次に何を見ればいいか
打ち上げを終えたMMXを待っているものは、5年のあいだに4つあります。
- 2027年度の火星圏到着。 打ち上げから1年弱で火星のそばに着く計画です
- フォボスへの着陸と石や砂の採取。 火星圏にいる2027年度から2030年度のあいだに行われます
- 2030年度の火星圏離脱。 帰りの旅の始まりです
- 2031年度の地球帰還。 ここで石や砂の入ったカプセルが地球に戻ってきます
当サイトの打ち上げ予定表(10月23日時点で15件)でいちばん先の予定は、2028年のものです。MMXが帰ってくる2031年度は、その予定表のさらに先にあります。10月20日の打ち上げを見た人が、その帰りを見るのは5年後です。
MMXの到着・着陸・帰還の節目で、このサイトは数字を確かめながら記事を重ねていきます。